日本FP協会の継続教育研修に参加しました。
その内容をご紹介します。
テーマは、
「空き家問題と所有者の選択肢」と題し、最近増えつつある、空き家について問題定義がされた内容となっています。
目 次
1.空き家の実態(総務省「住宅・土地統計調査」)
60年後半から70年前半にかけて、総住宅数は総世帯数と同じくらいでした。しかし、それ以降、総住宅数は総世帯数を上回り年々その差が開く傾向にあります。2013年では空き家率でみると13.5%になります。通常は住み替え需要もあるのである程度の空き家は必要です。空き家率で言えば、10%程度であれば問題ないとされていますが、現状、それを上回る状況なので問題です。
2.空き家増加の要因
☆:人口減少、高齢化と核家族化。
☆:中古住宅としての価値を持たない、日本は欧米諸国に比べ、中古市場、普及がかなり遅れています。(新築が当たり前)
☆:法的優遇。住宅が建っていた方が税金(固定資産税)が安い。200㎡以下の場合、1/6に軽減される。
3.新設住宅の着工(国交省「建設着工統計」)
2007、8年までは年間100万戸以上で、2009年に80万戸を切る現象を見せたが、以降、回復し2013年には再び、100万戸に届く勢いだった。2015年から2016年では80~90万戸が新設されている。
4.中古市場の国際比率
総務省の住宅・土地統計調査では、日本の中古住宅流通シェアは新築、中古合わせあ100%とするとわずかに14%台にとどまる。また、国交省調べによれば、中古住宅の流通シェアの国際比較では、米国、英国、仏国が70%以上に比べ、日本は20%に満たない。海外ではほぼ、当たり前のように中古住宅が市場に流れている。
5.住宅寿命(平均築年数)
日本では93年から13年までの推移をみると、築年数は20年後半から30年前半を推移しているが、米国は66.6年、英国にしてみると80年を超えている。近年をみると日本の住宅は劣化しやすい??と思うかもしれないが、戦前は古民家でも見られるように日本家屋も耐久年数に優れた住宅が見られた。戦後、住宅産業も産業化され、品質、劣化減を重視するより、建て替え需要を伸ばす動きが見られた、それに伴い、職人の減少も進み、耐用年数が落ちていった事がうかがえる。
6.海外の空き家率
米国は10年から11年にかけて、10%前半、広大な面積を考えれば少ない。英国は11年では4%に満たない、独国では1%未満であり、ヨーロッパでは、住宅寿命の長さに加え、市場が活発なのがうかがえる。
7.空き家の内訳
相続住宅、2次住宅(セカンドハウス)、売却用、賃貸用含め、70年後半から増加傾向にある。
8.その他の傾向
高齢化地域、例えば、鹿児島、高知、島根、山口、秋田などでは高齢化の増加に比例し、空き家の数も増加傾向にある。鹿児島、高知は10%以上、東京、沖縄は10%未満。また、20年後の空き家率を見てみると、新築のペースが現状のままであるなら、30%に届く勢いで増加する見込みである。
よって、これ以上の空き家を増やさないためには中古市場の活性化、高齢化、相続などで率いだ住宅が遊ばないような工夫が必要になりそうである。